便利だから見えにくい
昔々、PCを習いはじめると、誰もがこう教えられました。
「周辺機器の電源入れて、PC本体の電源は最後に!そうでないと、周辺機器が動作しません」
今では、『何のこっちゃ?』と思う方も多いのかもしれませんね。
Windows9xが世に溢れていた頃ぐらいまでは、常識でしたが、今は、そんな常識は存在しません。
なぜ、かつては常識だったのに、今は常識ではなくなったのでしょう?
それは、PCの電源を入れたまま、後から周辺機器を接続しても認識できるようホットスワップ、PnPといった仕組みを、デバイスやOSがサポートしたからですね。古いPCより、今のPCのほうが使いやすいのは、ハードウェアが高性能になり、ソフトウェアが多機能化したから。でも、便利になるということは、PCの勉強する側にとっては、大変なことです。
性能が上がり、機能が多くなったということは、内部構造は複雑化したということで、基礎で学ばないといけないことが増えてしまった。押さえなければならないことが増えてしまったから、PCの基本を学ぼうと思っても、最初に押さえなければならないPCの基礎がどこにあるのか、さっぱり分からない。
何でも自動的にやってくれるのは、とても便利なことですが、いざ、トラブルが起きたとき、OSとドライバ、OSとアプリの関係すら分からず、トラブルの切り分けができない、原因の検討もつかないという状況に陥ってしまう。そもそも、ドライバが何なのかも、よく分からないという方もいると思います。
ここここでは、そんな思いを抱えながらPCを使っている方のために、今さら人に訊けないPCの基礎知識を書いていこうと思います。
PCを使って何かするのなら、PCのことを知っていても損はないので、興味のある方はごらんください。
OSはBIOS(ハードウェア)とアプリケーションを制御している
OSはBIOS(ハードウェア)とアプリケーションを制御している
OSはハードウェアともアプリケーションとも関係がある

まず、PC基礎を学ぶにあたり、意識して欲しいポイントは、『ハードウェアの機能が向上したから、ソフトウェアも多機能になった』という点です。
『すんげえ、当たり前の話じゃん』という声が聞こえてきそうですが、PCの基礎を勉強しても、ハードはハード、OSはOS、アプリはアプリと、繋がりを意識しない、意識できないことが、せっかく各分野の基礎知識を学んでも、知識と知識が繋がらず、トラブル対応に生かせない原因になります。
OSはハードウェアに依存して動くソフトウェア(プログラム)だし、アプリケーションもOSの上に乗かって動くソフトウェアです。プリンタなどの周辺機器もOSと連携して動いている。だから、ワープロソフトや表計算ソフトなど、OS上に乗かって動いているアプリケーション側から操作しても、印刷できるわけです。逆に、特定のアプリケーションの印刷ボタンを押しても、プリンタから印刷できないという状況がある場合、アプリケーションの不具合の可能性も、OSの不具合の可能性も、プリンタそのもの不具合の可能性も考えられるということですね。
そのため、どんなふうに、OS、アプリ、ハードウェアが、どう連携しているのか知らないと、問題の切り分けをすることが難しくなります。

OSの『シャットダウン』メニューで、PCの電源が切れるのは、なぜか考えたことがあるでしょうか?

OS上から、『シャットダウン』メニューをクリックしたら、なぜPCの電源が落ちるのか、疑問に思ったことはありますか?
今では、当たり前のこと過ぎて、疑問に思う人のほうが少ないのかもしれません。
でも、OS上から、PCの電源が切れるということは、OSがハードウェアのON、OFF制御に関わっているからだと、気づくと思います。

★ハードウェア(ハード)電源
たとえば、1994年に発売されたWindows NT4.0(Windows2000の前のバージョン)では、すでに、スタートメニューに『シャットダウン』というメニューが存在したのですが、シャットダウンをクリックしても、PCの電源は自動的に落ちませんでした。『コンピュータの電源を切る準備ができました』というダイアログボックスが表示されるだけです。
若い方からは『何のためのシャットダウンじゃ~』と突っ込まれそうですが、当時は十分意味がありました。
PCのほうが、準備できないまま、PCの電源を切られるというのは、停電などで突如、電源が落ちてしまうのと同じ状態ですよね? それでは、内部のパーツにも、ソフトウェアにも障害を生じてしまう恐れがある。だから、正常にPCの電源を落とすために、OSから『電源落としても大丈夫だよ』という指示を貰ってから、ユーザーがPCの電源ボタンを押して、電源を落としていたのです。
このように、実際に電源ボタンを押して起動、電源ボタンを押して電源を落とす電源管理を、『ハードウェア電源(ハード電源)』と呼びます。

★ソフトウェア(ソフト)電源
それが1995年に発売されたWindows95以降のWindowsOSになると、スタートメニューの『終了』、もしくは『シャットダウン』をクリックすると、PCの電源ボタンを押さなくても、電源が落ちるようになりました。実際は電源が落ちるだけでなく、設定時間にPCを自動的にONにしたり、ネットワーク経由で、遠隔地のPCの電源をONにしたりできます。これを、『ソフトウェア電源(ソフト電源)』と呼びます。
ソフトウエア(プログラム)を用いて、電源を詳細に管理できるようになったため、それができなかった過去の電源管理は、ハード電源と呼ばれるようになりました。

なぜ、そんなことができるようになったのかと言えば、『電源ユニット』がソフトウエア電源に対応した製品になり、『BIOS』と、『OS』がソフト電源という仕組みをサポートしたからです。
デバイスやパーツ、そしてBIOSやOSも、その仕組みに併せて開発されて、初めて『シャットダウン』メニューから、PCの電源を落とすことができるようになったのです。

「ん? えっと、そもそもBIOSって何?」
と疑問に思う方のために、まずはBIOSについて書いていくことにします。