ディナポリチャートの生みの親は、米国の著名な投資家ジョー・ディナポリです。彼が執筆した書籍には、フィボナッチをテーマにしたものが多く、テクニカルとしてのディナポリでもフィボナッチリストレートメント(以下Fibo)を使う見方もあり、シングルペネトレーションが、それにあたります。これは、反発を狙った手法ですから、逆張り的なポジション取りになります。

ディナポリで、強いトレンドと見做されるのは、3*3DMAをサポートやレンジスタンスにロウソクが8本以上の期間、上昇、あるいは下降している場合です。1時間足なら8時間以上、日足なら8日以上、3*3DMAを割り込まずに上昇、あるいは下降したした状態です。陽線だけ、陰線だけが連続するという意味ではなく、3*3DMAを割り込まないのなら、戻り売りや押し目買い地点のロウソクが含まれていても構いません。

強いトレンドが出てていたとしても、トレンドの勢いはしだいに失速、やがてロウソク足が3*3DMAを下抜けたり、上抜けたりします。ブルトレンドなら3*3DMAを下まわり、ベアトレンドなら3*3DMAを上回るという意味ですね。このとき、前のトレンドの起点から、高値、もしくは安値にFiboを引きます。そして、相場が38.2~61.8(38.2、50、61.8の3つのポイント)で跳ね返った場合、さらに直近の高値と安値にFiboを引き、ターゲットを算出する手法です。

言葉だけだと分かりにくいので、チャートを表示して説明します。

『シングルペネトレーション例1』
『シングルペネトレーション例1』

最近だと、ドル円の週足チャートがシングルペネトレーションを説明するのに適した形になっていますね。そのため、これを使って説明します。

まず、最近の週足のブルトレンドですが、3*3DMAが割り込まないロウソク足の連続(スラスト)が8本以上ありますから、シングルペネトレーションを使う前提条件がクリアされています。

次に確認することは、このブルトレンドの起点となった安値と高値ですね。高値のほうは簡単に見つかりますね。

では、起点の安値をどこにするか考えます。移動平均線(MA)自体が、相場の平均値であり、実際の相場の動きよりも遅れて推移します。そのため、3*3DMAにロウソク足が乗っているときは、すでにブルトレンドが発生しています。だから、3*3DMA付近の安値を起点と考えます。

強いトレンドが出ているとときは、スラストが一定の角度を持って推移しています。Fiboをひくとき、トレンドの最高値と最安値を結んだ斜めのラインが、ロウソクの実態部分にかかっている本数が多いとか、中心部付近を貫いている本数が多いとかいう点に着目すると、どの辺りを起点と考えるのか、分かりやすくなると思います。また、MACDやストキャスティクスのメインの折り返し地点を確認すればよいでしょう。シグナルラインのほうが遅れてくるので、メインラインとのクロス地点よりも、少し前になります。図では、ここで引いた白い点線とピンク色の実践のFiboを、『Fibo1』とします。

 

『シングルペネトレーション例2』
『シングルペネトレーション例2』

ここからシングルペネトレーションで狙うターゲットを算出には、直近の高値、安値に異なるFiboを引きます。図では、茶色の点線と黄色の斜め実践で引かれているFiboです。こちらは『Fibo2』とします。シングルペネトレーションの場合、利益を狙うターゲットはFibo2の61.8に付近になりますから、104円を少し超えたところということになります。ストップは最初に引いたFibo1の61.8より外の地点です。

なぜかというと、最初の説明を思い出してほしいのですが、シングルペネトレーションは38.2~61.8の間でおきた反発からターゲットを狙う手法であり、61.8%超えて、下落が続くようなら、シングルペネトレーションが完成しないことになってしまうからです。読み違えだということになるので、Fibo1の61.8%より下にストップを置くわけですね。

 

 

 

 

 

※50%、61.8%だった場合を考える

ただ、先ほどの例は、あくまで、38.2の地点から割り出したもので、まだ、シングルペネトレーションでターゲットを狙う場面ではないと考えることもできます。

シングルペネトレーションの完成は、38.2、50、61.8と着目するべきポイントが三箇所あります。一般的に、MAX61.8までの間に反発が起これば、シングルペネトレーションが成り立つと言われているからです。

このまま相場が、104円付近のターゲットまで戻らずに50や61.8に向けて落ち、その地点で反発が起こった場合、再び、ターゲットを算出しなおさなくてはなりません。ただ、シングルペネトレーションが成り立つ範囲は代わりませんから、損切りポイントに変更はありません。

『シングルペネトレーション例3』
『シングルペネトレーション例3』
『シングルペネトレーション例4』
『シングルペネトレーション例4』

左図はFibo1の50と、61.8地点でFibo2を引きなおし、ターゲットを示したものです。Fibo1のピンクの斜め線の位置がおかしいのは、両方のFiboの数値が見えるようにFibo1の数値をずらして表示するためです。ふつうに引くと、両者の数値が重なってしまうので、あえてずらして引きました。こちらは白線がターゲットです。

ここでは、ディナポリの3*3DMAを基準としたスラストが8本以上出たときに使わるシングルペネトレーションについて説明するため、例としてドル円の週足チャートを使いました。

例に適したチャートだったから、週足を使ったというだけです。週足でシングルペネトレーションが使えそうだったとしても、デイトレ、数日単位のスウィングで取引をしているのなら、日足や時間足もチェックしなければ、実際の売買計画は立てられません。また、週足レベルでは、1本のロウソク自体の値幅が大きいですから、ターゲットまでの価格幅、損切りまでの価格幅が大きくなります。

 

 

 

トレンドフォロー型にも、シングルペネトレーションの視点は有効

このチャートでは、先週末からの流れを受けて、突っ込み売りをしてしまう方が出たはずです。

先週末に大きく下落しましたから、ちょっと戻しが入っただけで、週明け売り目線のまま、ポジションを取ってしまった方も少なくないはず。突っ込み売りをしていたら、ストップにかかったり、まとまった赤字に耐えている状態になっています。

全体としては、まだ、下落の流れにあります。でも、週足のような大きな足で、シングルペネトレーションの可能性が疑われるなら、反発ポイントで売りはかけられません。反発とはいえ、まとまった値幅を戻すおそれがあるからです。

大きな足は、小さな足よりも強いため、週足の38.2で反発が出ることが予想できたら、まずは様子をみます。

売り圧力が強いと感じるトレンドフォロー型なら、逆張り手を出さなかったとしても、シングルペネトレーションの可能性を考慮すれば、戻り売り地点を待つという戦略を取ることができます。

『シングルペネトレーションが完成して、ターゲットを超えていくようなら、売り目線は取りやめる。ターゲット付近で折り返すか、ターゲットに届かず反落するのなら、売り続行』といった戦略を立てられますから、トレンドフォロー型にとっても、シングルペネトレーションの視点は役に立ちます。

次回は、ダブルレポについて執筆予定です。

 

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